312908 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

chapter5

LastGuardianIIStarting Stars

chapter5「Freand」

約3分の激戦を終え、レドナは教室に入る。
誰も疑いもせず、理科の先生は、大丈夫かと声をかけるほど。
席に着くなり、真が話しかけてきた。

真「どうだった?」
レドナ「一応奪還はできた。
    途中で桜花にバレたけど、どうやら見逃してもらえたらしい」
真「とりあえず、あの海藤じゃなくてよかったな」

そういって、レドナの肩を叩く。

レドナ「とりあえず、アイツが海藤に言わないのを祈れ」
真「はいよー。
  それにしても、沙唯ちゃん可愛いよなぁ~」

唐突に真が話題を変える。

レドナ「アレだけ無口なのもどうかとおもうが・・・?」
真「そこがいいんじゃないか~。
  あのウルっとした眼でジッと見つめられてみたら・・・あははぁ・・・」

ニヤケ顔で、真が妄想に耽る。
そんな真をよそに、レドナは可愛いのだけは同意してやると言って、黒板の字をノートに写し始めた。

レドナ(でも・・・なんでアイツは見逃してくれたんだ・・・)

結局はレドナも、そのことで頭がいっぱいであった。


その日の授業も終了し、5人は校門で待ち合わせをしていた。
最後に、日直の仕事を終えたフィーノが来て、帰ろうとしたそのときだった。

宗佑「やぁ、鳳覇君。
   放課後になれば、携帯を返してくれと懇願しにくると思っていたが、違ったようだね」
沙唯「・・・・・」

そこには、宗佑と沙唯が歩いてきた。
鞄を持っていないことから、どうやら、校門付近の下校マナーの様子をチェックしに来たようだ。

レドナ「なんっすか?
    先輩達こそ、こんなところで」
宗佑「下校マナーの改善を図るべく、こうやって見に来てあげているのだ」

両腕を組んで、どうだといわんばかりに見下すように言う。

真「あらそうっすか~。
  そりゃお疲れさんっす」

はやく帰れといわんばかりの言い方で真。

香澄「あ、さっき携帯の事言ってましたけど、本当に明日から持ち込み禁止なんですか?」
宗佑「あぁ、ここに居る鳳覇君と高田君の所為でな」

横目で宗佑が2人を見る。
確実に、2人をあざ笑っている。

レドナ、真「そりゃ、すいませんでしたねー」

珍しく、2人の声が重なりハモる。
もちろん、2人に罪悪感と謝罪感など欠片もない。

はやて「ほんなら、没収されたっていうのも、ほんまやったん?」
レドナ「ん、まぁ・・・・な」
はやて「せっかく、暁君のアドレス訊こうと思っとったんやけど・・・」

淋しそうに言うはやてを見ると、真実を告げたくなる。
しかし、本当は奪還したということは、この場では明かせない。

宗佑「そこ!シャツを出しながら帰るのはマナー違反だ!
   ・・・では、私達はそろそろ本職に戻るよ。
   いつでも携帯を返して欲しかったら泣いてすがり付けば返してあげるよ」

そういって、宗佑はそのシャツを出しながら帰る生徒のところへと向かった。
沙唯は、まだその場で宗佑の行動をやはり無表情で見ている。
そして、ゆっくりと顔をこちに向ける。

沙唯「・・・・それでは、失礼します」

顔、声に表情もなく、沙唯は1人学校へと戻っていった。
どうやら、風紀委員室に戻るようだ。

フィーノ「なんだか、不思議な感じの方ですね」
真「でも、ほんと可愛い・・・あいたた!!」
レドナ「高田君、そろそろ怒りますよ?」

そういうレドナの右手は、真の左手をつねっていた。

真「ぁぃ、ごめんなざい」

痛そうにつねられたところをさする真。
そして、5人は学校の校門を出た。

レドナ「あ、そういやさっき、アドレス欲しいって言ってたよな?」
はやて「え・・・あ、うん!」

少し歩いて、レドナがはやてに言った。
ポケットから奪還した携帯を取り出した。

香澄「あれ、没収されたんじゃなかったの?」
レドナ「まぁ~な、でも、真の備えあれば憂い無しの言葉の効力が発揮されたんだよ」
フィーノ「といいますと?」
レドナ「教えられないけど、困った時は真に頼めってことだ」

そういって、真を見た。

真「おう!!奪還からイタズラまで広い守備範囲で頑張るぜ!」

ガッツポーズで言う。

香澄「あ、あはは・・・なんとなく、分かったよ」

苦笑して、香澄が言う。
それから、アドレスを教えあい、雑談をすると、いつもの分かれ道へと来た。

香澄「じゃ、また明日ね」
真「まったな~!」
レドナ「じゃ~な~」
フィーノ「さようなら~」
はやて「ほなな~」

軽く手を振り合い、香澄と真は道を折れた。
そのまま3人は直進して行った。
そして、次は神月家へと向かった。
途中で、再びのお遣いに行くと言ってフィーノは別れた。
本当の理由はエクステンドステーションに行くということを知っているのはレドナだけだった。

はやて「あ、あれ・・・?」

家の前で、はやては鞄の中身を見る。

レドナ「どうかしたのか?」
はやて「うん・・・家の鍵がないんや・・・」
レドナ「ドア蹴り飛ばしてはいるわけにも行かないよなぁ」

レドナにしてみれば、冗談で言ってもできる行為であった。

はやて「あははっ、それはさすがに危ないわ。
    でも大丈夫や、通院してるから、今日は病院に泊まるよ」
レドナ「こっから病院っていうと、結構あるだろ?
    どうせだし、送っていくよ」

そう言って、ほぼ強制にはやての車椅子の向きを病院方向へと向けた。

はやて「ええよぉ、夜遅くなったらあかんし・・・」
レドナ「個人的には、はやてが夜道を一人でふらふらしてる方が心配」

実際に、レドナは夜出歩くのには慣れっこだった。
それに、はやてのほうが、危険すぎる。
しかし、それとは別の何かが、レドナをそう仕向けているような気がした。
レドナにも分からない何かが――。

はやて「ほんま、おおきにな・・・」
レドナ「いいっていいって」

嬉しそうに言うはやて。
その顔には、送っていってもらえる以外の意味が含まれているようだった。
それを立証するべく、はやての頬が少し赤くなる。
その姿に、レドナも無意識に何かが反応した。

レドナ「か、顔赤くなってるけど、大丈夫か・・・?」
はやて「ふぇっ!?あ、あ、だ、大丈夫、大丈夫やで~」

突然のレドナの声に、初めて聞く驚きの声を上げた。
本当に、何か隠していそうな、そんな感じがしてならなかった。

レドナ「あんま無理すんなよ」
はやて「う、うん。
    おおきにな」

再び、はやては嬉しそうな笑みを残し、下を向いた。
それから、病院に着くまでの時間は感覚的に短かった。
しかし、時計はきっちり20分かかったことを告げている。

はやて「ここまで来たら、大丈夫やから」
レドナ「そっか、じゃ、また明日な」
はやて「うん、ほなな~」

そう言って、はやては病院へと入って行った。
その直後、レドナの携帯が鳴る。

レドナ「もしもし?」
エンフィ「もっしもーし!エンフィだよ~。
     で、いきなりで悪いけど、レド君の周辺に魔力反応が見つかったから、要注意しといて」
レドナ「ま、まじかよ!?」

慌てて周囲を見渡す。
しかし、冬のこの時間、人通りは少ない、むしろ誰も居ない。

レドナ「距離はどれくらいだ?」
エンフィ「東に700mってところ」
レドナ「了解!」

そう言って、レドナは東へと走って行った。
今は、素直に西側でなかったことに感謝した。
病院を戦場にするわけにはいかないからだ。

全力で走ると、途中でマプティラズディが自動的に魔力反応に感知して、戦闘魔法陣を張った。
それに気づき、レドナもクァルファーレの黒衣を身に纏い、グリュンヒルEXを具現化させる。

レドナ「あ、ヴァルニス!」
ヴァルニス「レドナも来ていたのか」

少し走ったところで、見覚えのある銀色のリーンジャケットを目にした。

レドナ「魔力反応って、敵なのか?」
ヴァルニス「分からないが、ガブリエルではなさそうだ」

無能である彼らが、身を隠しているのは考えにくい。
となると、知能のある人間であることが挙げられる。

ヴァルニス「レドナ、あれだ!」

ヴァルニスが指差す方向に、黒い服を着た男が立っていた。
炎を連想させる赤髪に、レドナと同じ真紅の目。
その男は、民家の屋根からこちらを見下ろしていた。
口元は服で隠されているが、その声はきちんと耳に届いた。

???「・・・・反逆者め」
レドナ「!?」

だが、その一言でレドナは敵の正体を見破った。

レドナ「それを知ってるって事は、お前、反エクステンドのガーディアンだな」
カース「あぁ、俺は反エクステンド機関のラストガーディアン、カース・エリンスだ」

カースは、見下す目で、レドナのグリュンヒルEXを見た。

カース「なんだ、"漆黒の大双剣"の名も廃ったのはその所為か?」
レドナ「残念、コイツは1本で2本以上の力を使える。
    名が廃り、"漆黒の破壊神"になったのは格上げだ」
カース「ならば、その力、見せてもらおうか・・・」

カースの左手に赤い閃光が走る。
そして、それは武器の形となる。
緋色の大剣が現れ、それを両手で握り、構える。

ヴァルニス「戦いは避けられぬか」
レドナ「まぁいい、こっちはエクツァーンモデルが2つ。
    勝率は圧倒的にこっちが上だ」

その言葉が言い終える前に、カースは屋根から飛び降り、こちらへと向かってきた。
2人も武器を構え、散開する。
しかし、2人は驚くべき光景を目にした。

カース「デルバルス、カートリッジロード」

カースの構える大剣から、弾丸が排出される。
そして、デルバルスと呼ばれた大剣の刃が、一層赤く輝きだす。

レドナ「う、嘘だろ・・・・!?」
ヴァルニス「相手も、エクツァーンモデルだと!?」
カース「残念だったな、レドナ・ジェネシック!!」

赤く染まったデルバルスの刃が、レドナに襲い掛かる。

レドナ「グリュンヒル!!」

すぐさまレドナのグリュンヒルも、緑色の輝きを帯びる。
そして、カースの攻撃を受け止めた。
火花と魔力を散らし、鍔迫り合いが起きる。
それを制止したのは、ヴァルニスのバロックガンブレードの銃撃だった。
レムリアを帯びた弾丸が、カース目掛けて発射される。
間一髪でそれをかわしたカース。
その間に、レドナもカースから少し距離を置く。

レドナ(エクツァーンモデルはエクステンドが独自に開発したもの。
    なのに、さっきのレムリアブレッドのロードから構造は同じもの・・・。
    誰かが裏切って情報を流した―――。
    いや、それはないはず・・・)

ヴァルニス「何故お前がエクツァーンモデルを所持している!?」
カース「反エクステンドを、舐めてもらっては困るということだ。
    これがあれば、ガブリエルもシュナイガーも潰すことができる」

レドナが考えている間に、ヴァルニスが単刀直入に尋ねた。
無論、答えてくれるとは欠片も思っていない。
そして、現にカースは答えなかった。
もしかしたら、遠まわしの返答かもしれなかった。

レドナ「じゃあ、俺らがこの勝負に勝ったら、その全貌を教えろ」
カース「それはいいが・・・しかし、俺たちは途中で撤退しなければならない」

そういって、左腕につけている時計を見た。

レドナ「なら、撤退する前に撤退できないほど叩きのめしてやる!!
    いくぜ、ヴァルニス!!」
ヴァルニス「あぁ!」

2人は武器を構える。
ヴァルニスが後方から攻撃をし、それを回避するカースをレドナが追う作戦をとった。

カース(・・・・愚かな方法にでたか。
    まぁ、大抵の者はこれで挑んでくるのは分かっている・・・)

軽く笑みを浮かべ、レドナの斬撃を交わしたところだった。

レドナ(くっ、なに笑ってやがるコイツ!!)

馬鹿にされているようで、レドナの怒りが燃え始めた。
奥歯をかみ締め、1撃1撃の力を上げる。
それが幾分か続いた後、カースの腕時計が鳴った。

カース「そろそろ閉幕のようだ。
    結局は、俺を倒すことはできなかったな」
レドナ「・・・・・ちっ」

レドナが舌打ちする。

カース「まぁいい。
    もうお前達は"終っている"のだから」
ヴァルニス「なんだと!?」

返答に、カースは笑みを浮かべる。
カースの服が弾け、リーンジャケットを身に纏う。

レドナ「リーンジャケット!?」
カース「さぁ、受けろ、アズファスタの黒衣の力を!!」

カースが左腕を挙げる。
すると、カースの背後に、多大な魔力が集まる。
それが何を示唆するのか、レドナにはすぐに分かった。

レドナ「・・・・・!!
    逃げろ、ヴァルニス!!
    奴は俺たちが使ったレムリアの魔力を吸収している!!」
カース「喰らえ、ヒルベルト・ジ・オーガッ!!!」

アズファスタの黒衣の後ろ。
集められた緋色の魔力が、大量のビームとなり、発射される。
それは、魔法陣内のカースの立つ前方をほとんど壊滅させた。

カース「地獄でまた会おう」

言い残し、カースは転移魔法を使い、その場から出て行った。

まだ、魔法陣は消滅していなかった。
なぜなら、まだ魔力反応を感知し続けていたから。
破壊された建物の中、2人は生きていた。
2人は、防御フィールドの中に居たが、すぐにフィールドも破れた。
しかし、本命の最大攻撃を何とかかわしたため、ダメージは最小限に済んだのだ。
そして、フィールドをギリギリで展開した人物もそこにいた。

フィーノ「・・・・な、なんとか間に合いましたね」

苦笑して、フィーノが言う。
そう、彼女がギリギリでフィールドを張り、3人は間一髪免れたのだ。

レドナ「サンキュー、フィーノ」
ヴァルニス「礼を言う、助かった」

3人、それぞれ服についた煤を払う。

レドナ「はやく魔法陣を解除させよう。
    敵に感づかれるとまずい」

そういって、マプティラズディに解除命令を出した。
2人のリーンジャケットは元の服へと変わる。
同時に、破壊された民家も元どおりになる。
元どおりになる、というよりは異空間から正空間へと戻ったのだ。

レドナ「すぐにステーションに行こう。
    敵のエクツァーンモデルの件についても気になる」
ヴァルニス「そうだな、反エクステンドもなにか大掛かりな仕掛けをしているようだ」

3人は、急いで神下大橋へと向かった。
AZで、ステーションへと向かう。

レドナ「あ・・・」

ステーション側のAZに着くなり、レドナ達の服が制服へと変わった。
正確に言うと、世界とアナライズワールドを移動する一瞬の間に服が変わっていた。
これなら、更衣室の意味が無いだろうと思いつつも、レドナ達は早速司令室へと向かった。

カードを通し、司令室の重いドアが開く。

エンフィ「あ、れ、レド君たち!!
     大変大変大変なんだよぉ!」

入るなり、エンフィの慌てる声。

レドナ「ど、どうかしたのか?」
シーフォ「それが、反エクステンド側にハッキングされたみたい」

その言葉に、3人は驚きの声をあげる。

フィーノ「は、ハッキングって・・・・」
レドナ「もしかして、エクツァーンモデルのデータも!?」
エンフィ「データパクられただけじゃないんだよ~。
     AZと、キーロックのシステムと一部の監視システム以外全部データが改竄されて・・・」

何度も悩みながら、エンフィがエラーばかり出る画面を見ては、端末を操作し、を繰り返していた。

シーフォ「それに、エクツァーンモデルのデータは早くから取られていたみたい。
     4、5日かけて、地道にハッキングされたらしいわ・・・」

どうしたらいいの、とでも言わんばかりに、シーフォの顔が沈む。

ヴァルニス「だから相手もエクツァーンモデルの武装で挑んできたわけか」
レドナ「反エクステンドも、本気で潰さねーとやばい状況に・・・」

一瞬、レドナはカエデとロクサスのことを思い出した。
この状況は、明らかに反エクステンドがこちらを潰そうとしている証拠。
ならば、2人とも何れ戦う時が来る。

フィーノ「その・・・立ち直れる見込みはあるんですか?」
エンフィ「う~ん、完全復帰は無理でも、全部のシステムデータが回復したら、プロテクトかけられるけど・・・。
     パクられたデータはどうにもならないよぉ」

悔しそうにエンフィが言う。
開発に関わった一員として、やはり自分の傑作をとられるのは悔しいことだろう。
端末のキーボードにうつ伏せになり、泣きじゃくるエンフィ。

レドナ「エンフィ、気ー落とすなよ」
エンフィ「グスン、でも・・・・でもさぁ・・・・。
     私の所為で・・・またレド君たちが危険な目にあうかもしれないんだよ・・・」
レドナ「エンフィだけの責任じゃねぇ。
    それに、俺たちにはエンフィの気持ちが込められたエクツァーンモデルがある。
    奴等の偽物とは格が違う」

そう言って、エンフィの肩に、右手を置いた。

エンフィ「うぅ・・・・レド君・・・・ありがとぉ」

レドナのその手にしがみ付いて、エンフィが言った。

To be next chapter


© Rakuten Group, Inc.